親が亡くなってしまった場合、発生するのが実家の相続です。実家を相続した場合、どのように処分するのかという問題や、相続税の申告、名義変更とさまざまな対応を期限内に行わなくてはなりません。
この記事では、実家を相続をした場合に注意することや相続税申告の仕方、名義変更に際しての注意点を解説していきます。
実家を相続した際に注意すること
実家を相続した際に注意しておきたいのは、「期限」についてです。この期限いついて理解しておかないと、トラブルになる可能性もあるのでしっかりと把握しておくようにしましょう。
期限について① 3ヶ月
まず覚えておいていただきたいのが「3ヶ月」という期限です。これは、実家を相続するかしないかの判断をするための期間になります。
実家に住んだり、実家を賃貸に出すなどの活用方法がない場合、「実家は相続したくない」と考えることもあるでしょう。そのような場合には相続放棄の手続きが必要です。相続放棄ができるのは、相続開始日から3ヶ月以内と決まっています。もし、3ヶ月以内に手続きを行わなかった場合には、単純相続となり実家を相続しなくてはなりません。
実家を相続するかどうか迷っている場合、「3ヶ月」以内に結論を出す必要があります。
期限について② 10ヶ月
もし、相続した実家が高額な場合には相続税を納付しなくてなりません。相続税には基礎控除額という制度があり、その金額を超えると相続税の申告、納付の必要があります。
基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出されます。つまり、法定相続人が3人いた場合、
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
となり、相続財産の金額が4,800万円を超えなければ非課税です。
もし、実家を相続した際に基礎控除額を超えてしまうと相続税を納付する必要があり、その納付期限が「10ヶ月」なのです。
納付期限の10ヶ月を超えた場合、追徴課税を支払う必要が出てきます。ペナルティを課されないためにも実家の相続が決まったら、すぐに財産を調査し相続税の申告、納税の有無を確認しておくことが重要です。
相続税の申告方法
上記の通り、相続税は相続財産の額が基礎控除額を超えていると発生しますので、相続税の申告が必要です。
相続税は、課税対象となる遺産総額から算出して申請書に記載して提出します。相続税の申告は個人でもできますが、算出方法が複雑なため、不安な方は税理士など専門家に相談することをおすすめします。
申告書を作成して必要書類とあわせて税務署に提出することで相続税の申告は完了です。期限は10ヶ月ですので、ご注意ください。
参考までに相続税の申告に必要な書類の例を以下に記載しておきます。
【身分関係】
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本・戸籍の附票
- 遺言書または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
など
【不動産関係】
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 固定資産税評価証明書
など
名義変更の注意点
実家を相続した場合、被相続人の名義から相続人の名義に変更しなくてはなりません。ここでは相続後の名義変更(所有権移転登記)の際の注意点を解説します。
①誰の名義にするか慎重に検討する
実家を相続した場合、親(被相続人の配偶者)を名義とする際には注意が必要です。親を名義人とする場合、相続税の配偶者控除が適用され税負担を大きく軽減することができます。しかし、後々子供が相続した場合、結局はその子供が高額な相続税を支払うことになりますので、二次相続を考えた場合、名義人は慎重に検討した方が良いでしょう。
また、親が高齢の場合、介護費用のために実家を売却することも想定しておく必要があります。実家を相続した親が認知症などを患った場合、判断が難しくなり売却手続きを進められない可能性があるからです。
以上のことから実家を相続する場合には、名義人を誰にするかについて慎重に検討することをおすすめします。
②共有名義はトラブルの元になることも!
実家を相続する場合、複数の相続人で所有する「共有」を選択する方も多いと思います。しかし、共有で登記すると売却や賃貸、実家を担保とする際に共有者全員の同意が必要となり、処分が難しくなります。更に共有者が亡くなり、相続が発生すると面識のない相続人と共有状態になることも考えられます。
このような事態に陥らないためにも、実家の相続の際は名義人は1人にしておくことが良いでしょう。
まとめ
思い入れのある実家を相続したいと考える方は多いことでしょう。だからこそ、上述した注意点を把握して慎重に検討する必要があります。
相続税の計算や相続登記には専門的な知識も必要となり、提出書類も複雑で集めるのに時間や手間がかかってしまうことがほとんどです。相続について不安や悩みがある場合は、専門家に相談することをおすすめします。複雑な計算や手続きを引き受けてもらえるだけでなく、アドバイスも得られるので、安心して相続を進めることができるでしょう。